Lupin Event

 
ルパン三世シークレットナイト2006
2006年5月13日(土) 東京都池袋 新文芸坐 〔後編〕
 
 
 
※前編の続きから
 
 
休憩時間、本を買った後本当はそのまま席に戻るつもりだったのだが・・・・。
 
どうにも目に焼きついて離れないルパンのウォール・タンブラー。
 
何度見ても美しいイラストとデザイン。ああ・・・飾りたい。
 
ふらあっとタンブラーを手に「いい仕事してますねえ」と器鑑賞。
 
これを手に入れるには、配信サービス会員登録しかないのね。トムちゃんのスタッフに声をかける。
 
 
 
 
「入会したいんですけど」(言っちゃった)
 
 
 
 
ご存知の方もいるかと思うけど、トムちゃんとこは、以前ちょいと痛い事件があった。
 
それを機に信用取り戻そうと色々努力されてるのが判る。
 
雨降って、地固まるとはこういうことか。
 
会員といっても、そんなに大袈裟に考える事もないだろうと思う。
 
やめたい時にはいつでも出来る訳ですし(おい)
 
 
 
 
 
最初に千円払って「ルパン三世THEATER」のプリペイドカードを購入するらしい。
 
このカードの方は興味なかった。イラストが美しいと思えなかったから。
 
相変わらず手慣れで表情つけてるなぁ。
 
とりあえず、今はイベントを楽しみたい気分なのでそれ以上考えないことにする。
 
席に戻ってカレンダーと原作本の扉絵を鑑賞。
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
キンコンカンコン♪
 
始まりの合図はまるで学校のチャイム。
 
内容についての感想はいづれ感想部屋の方で詳しく書きたいと思ってます。ここでは主に
 
 
 
 
 
 
「映画館とテレビで観た場合の印象の違い」
 
「劇場で観る事によって得られる、演出効果」
 
 
 
 
 
 
に焦点を絞って感想書いてみたいと思う。
 
 
 
ルパン対複製人間〔仮題〕
 
 
映画館で観るのは二度目。冒頭、非常にゆっくり
 
 
 
 
 
階段のきしむ音だけで
 
「歩く」
 
揺れるロープの動きだけで
 
「人間の体の重み」
 
 
 
 
 
等が表されてる。
 
余計な音を入れないというだけでも、このシーンは鮮やかに印象に残るが
 
これを効果的に活かしてるのが映画館という密室だ。
 
 
 
 
明るい部屋で生活感のある音に囲まれて観てたら、多分この気分は味わえない。
 
また、冒頭の階段や処刑のシーンなどの白黒シルエットは、真っ暗の場内だと更に美しく映えるのに気づく。
 
 
 
 
カリ城は「水」の演出が上手い、
 
とアニメ夜話に書いてあったけど、
 
マモーは「影」が冴えている。
 
 
 
 
 
影だけで人の動きを表したり、
 
大きく影を引き伸ばしたり、シルエットだけ、線描だけ、等など、
 
あらゆる演出の「影」がそこにある。
 
それらが映画館という暗闇で、ひときわ明暗の輝きを放つ。
 
 
 
 
 
 
 
監督の吉川さんは
 
「映画に相応しい大きなスケール」
 
を意識されてたそうだが、この「大きさ」に対する演出効果も映画館で観ると特にはっきり判る。
 
 
 
大仏
 
ピラミッド
 
ダンプカー
 
砂漠
 
宇宙
 
太陽
 
空一面に飛ぶ蝶
 
巨大脳みそ(笑)
 
 
 
などなど。
 
視覚的にその「でかさ」「広さ」を楽しめるものが具体的に畳み掛けるように並べられている。
 
これらを実際に大きな画面で見せることによって、そのものの持つ迫力を相乗効果で存分に発揮させているのだ。
 
実際、この冒頭の大仏顔アップは大画面で見ると、まるで本物の大仏を目の前にしてる気分でしたよ^^
 
 
 
 
 
 
納谷さんの声が若くて嬉しい(笑)西村さんは何度聴いても絶品の上手さ。
 
それだけに、赤塚不二夫さんと梶原一騎さんの声はかなり聴いてて辛かった;
 
話題先行なのはわかるけど、映画館のこの音響の素晴らしさと場内の広さに響き渡るこの声は、テレビで聴くよりお粗末さが際立つ。
 
 
 
 
 
 
 
画面が時々荒れる。フィルムにゴミが入ってるみたい。
 
映画館では良い物も悪い物も、より目立つ。
 
個人的に惚れたのは、蝶の舞うシーンと、宇宙での脳みそ浮遊。
 
絵の上手さとかそういうレベルの問題じゃなくこれも画面の広さならではの味わい。
 
例えれば広い景色を一望して
 
 
 
「絶景かな」
 
 
という時の気分を満喫してる感じ。
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
ビデオを見てマモーのレビュー書く前に、映画館で見てよかったと思えた。
 
何故ならテレビで観たのとは、受ける印象がだいぶ違う。
 
 
 
 
劇場の「大きさ」「無音」「暗闇」
 
 
 
 
これらが効果的にこの映画の魅力を引き出しているのだ。
 
「マモーはつまらない」とビデオで観て思った方には、これは
 
 
 
 
「映画館の演出効果があって、活かされる場面の多い作品」
 
 
 
 
であり、
 
小さな画面で明るく雑音に囲まれた状況では、その魅力は存分には伝わりかねる
 
ことを述べておきたい。
 
 
 
パイロットフィルム〔広川太一郎スタンダード版〕
 
 
 
宇宙から日常へと舞台が切り替わります。
 
個人的な好みでは、私はこの位の世界観の舞台の方が好きです。
 
そうでなくてもルパンに、あまり大きすぎる敵や舞台は描いてる側も動かしにくそうだから。
 
それだけに、マモーがちゃんと話として魅せられるレベルに纏められてるのは逆説的に凄いと思う。
 
狭い日常の舞台をこういう大きな画面で観ると、より実写映画の雰囲気に近くなる。
 
 
 
 
どこか「日活犯罪物」を思わせるムードだ。
 
 
 
 
こういうスケールのものはミニシアターで数本立てでやると面白いかもしれない。
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
改めて聴くと音楽が実に洒落ている。フランス映画でも観てるみたい。
 
モンキーさんは、はじめルパンはアニメには向かないと思ってたそうだ。
 
「ルパン」自体が実験的な漫画で、ポンポン場面を飛ばしてたりしてたから。
 
ところがこのパイロットを見て、それにジャズが取り入れられてるのを見たとたん、アニメスタッフのセンスに驚きとても喜んだらしい。
 
 
 
 
コバキヨさんはこの時代から次元を見事に掴みきっている。
 
広川さんも悪くないが、山田さんのルパンを観た後だとルパンが別人の様に感じられる。
 
いかに山田さんがその後、自分の方にルパンを引っ張り込んじゃったかという見本みたいなものだ。
 
 
 
 
不二子の踊るシーンではバックにエロティックな場面が続々と出てくる。
 
(テレビ版の奴は、それが不味くて差し替えられた物ではないかと思うのだがどうだろう)
 
このパイロットフィルム、今まで見てなかった方もいるようだ。
 
その女性の裸の写真や春画の画面で
 
「おおv」
 
という男性客の声がいくつかあがり、続いて嬉しそーーなクスクス笑いが起こった。あのな(^^;)
 
こういうと怒られるかもしれんが、こういう時の男性は可愛いです。
 
 
バラとピストル〔新26話〕
 
 
OPもなしにいきなり始まったのでフェイントをつかれた。が、かなり良かったです。感動。
 
この話の脚本は旧ルでもハードボイルドテイストでならしてた大和屋竺さんだが、映画館で観ても、この話は遜色ない。
 
充分に鑑賞に耐えられます。否、テレビよりむしろこの話は映画向きとすら思う。
 
 
 
 
 
フラメンコの「音楽」
 
リンダを撃つ次元の「銃声」
 
 
 
 
 
それらポイントとなる「音」の効果が劇場の方が迫力が出せるというのもある。
 
ルパンと次元が互いにコインを撃ち合うシーンもマモーとは逆に、小さい対象物を大きく見せることによって、印象が強くなる。
 
 
 
 
 
脚本自体も心に残る余韻が心地良い。余韻のある話は特に映画向きだと思う。
 
何故ならコマーシャルや他の媒体に邪魔されることなく、しばらくその世界に浸っていられるからだ。
 
それだけに動きの悪さ、画面構成の単調さもより大きく目立って惜しまれる。
 
新ルパンは脚本は結構良いのがあると個人的には思ってるのだが、
 
如何せんそれを活かす画面に画力が追いついてないのと、
 
下手に視聴者に媚びた演出〔銭形の壊れ方など〕がそれを壊してるケースも少なくなく勿体無く思う。
 
 
 
 
 
山田さんの新ルパンは、男のクールなやさしさを見せつつもその一方でチャーミングでとても可愛い。
 
シリーズによって色んなルパンの性格が続けて見られてそれも興味深い。
 
アイキャッチと次回予告は、ちゃんとついてました。
 
 
 
ルパンは燃えているか・・・?!〔旧1話〕
 
 
 
客のリクエストで上映する話を決めたらしいが、これはおそらく
 
「第一作目」
 
ということであげた方が多かったのではないかと思う。
 
先ほどのマモーや新ルとは違い、急にルパンの口調が淡々と低く変わって
 
同じ山田さんなのに別人の様な雰囲気。
 
さっきの広川さんのルパンが急に戻ってきたみたいな気分。
 
ルパンのキャラも少しずつ変化して今があるということだろう。その分作品の歴史の長さを感じさせる。
 
 
 
 
 
 
 
あ。考えてみれば、劇場でヤマタケ・ルパン聴いたの、これが初めてだ!
 
これって擬似ヤマタケサウンドでのルパン映画化じゃないか。あらまあ得した気分。
 
 
 
 
 
 
 
 
旧ルは動きがいいな。絵が大きいからより動きに迫力が出る。
 
先ほどの新ルの動きのつたなさともろに比較されて、哀しく思えるほどスタッフの動画のレベルが違う。
 
新ルのセルの枚数は当時としても多かったと聞くのだが・・・多分、中割のセンスの問題もあるんだろう。
 
 
 
 
尚、次回予告と新ルのアイキャッチはテレビシリーズ全部ついてましたが
 
OPは一緒に上映されたのとそうでないのとあります。
 
旧ルはアイキャッチがない為か、繋ぎの部分で一瞬画面が暗く消えました。
 
 
 
ナポレオンの辞書を奪え〔1991年度テレビスペシャル〕
 
 
 
どうしてこの話が今回ピックアップされたのか疑問。
 
というのも、この話はテレスペの中でも評価が低く、そのせいか再放送さえ滅多に観られない。
 
だから逆に観せようというのかな。
 
個人的な好みをいえば、嫌いな話ではない。理由は簡単。
 
 
 
 
私はクラシック・カーが好きなのだ。
 
 
 
とっつあんのクラシック・ファッションが拝めたり
 
(どうせならルパンと次元もそうして欲しかった)
 
ルパンと不二子がベタベタしてないのもすんごい好みだし
 
銭ルだし次ルテイストもあるし
 
(何だか個人的な理由ばかり・笑;)
 
 
 
 
 
折角楽しい設定なのに、活かしきれてないのが残念。
 
ゲスト女なんかどうでもいいから、旧や新でもやったような
 
 
 
 
レース話として、とことん車やレースに拘って描けば
 
そのクラシック・カーバージョンで面白くなったかもしれないと思う。
 
 
 
 
そういうのは宮崎さん向きなんだろうけど、上手くいけば犬のホームズの世界です。
 
出だしは案外良いと思えました。背景美術、綺麗です。
 
ストーリーもシンプルでテレスペとしては判りやすい。
 
大平透さんの芝居にはのっけから「上手いなあ」を連発させられる。
 
話が湾岸戦争を非難した世相話なのは、あまりあからさまにやられると鼻につきますが
 
とりあえずこの話は今まで世間で言われるほど悪いとは思ってなかった。しかし・・・。
 
 
 
 
 
・・・今回、何故この話がファンに嫌われてるか判った。
 
 
 
 
 
いきなりウ●チです。この画面の大きさで;
 
これが結構しつこく画面上で粘る。とっつあんの台詞にももろにその名詞喋らせてるし。
 
私にスカトロ趣味なぞない(T_T)
 
ここ、ビデオじゃ今まで目を逸らしてたから記憶に残ってなかったわ。
 
 
 
 
 
そして度々聞く「作画の乱れ」。
 
私、殆ど車とル受シーンしか観てなかったから(^^;)
 
これも「そうなのか」位にしか思ってなかったが、さすがにこれだけ大きな画面でやられると誰でも判る。
 
 
 
 
 
次元の顔(特に顎)がよく崩れます。ルパンの顔の大きさもコロコロ変わる。
 
一番酷だったのが不二子。
 
如何にもアニメアニメした睫毛バチバチの顔が、大画面一杯にドアップで映った時には切なくなりました。
 
さっきのマモーの絵に似せてるようで似ていない。
 
どこに作画の基本線があるのか描いてる側にも判らない様子で迷いがあるようだ。
 
ルパンの回想シーンの方が余程きちんと作画されている。
 
ルパン二世がルパン8世チックなのが印象的。
 
 
 
荒野に散ったコンバットマグナム〔新99話〕
 
 
 
先ほどの新26話と同じ新ルと思えないほど、うってかわって動きがいい。スタッフが違うといえばそれまでだが。
 
余計な説明を加えず、無駄をそぎ落としてポンポン話が進んでいく。
 
この辺の進行は先ほどのマモーと似てる。
 
 
 
 
ストーンマンって見掛け倒しの敵。
 
今回はマモーやスコーピオンのコミッショナー、リンダとマイヤーなど結構癖がある敵が続々出てただけに、
 
続けて観るとそのへタレっぷりが余計に目立つ。
 
 
 
 
ルパン三世颯爽登場〔新1話〕
 
 
 
この話も旧1話と同じく
 
 
 
「一回目の記念」
 
 
 
的要素が主で選ばれたんだろうと思う。
 
動きがぎこちなく、画面構成も平板。
 
テレビでもそう思うのだから劇場用の大画面は推して知るべし。
 
 
 
 
「こういう事をやりたいんだ」
 
というよりは
 
「ルパンってこんな感じかな」
 
とたどたどしく探りながら作られてるのがわかる。
 
 
 
 
コミッショナーのキャラがさっきまでチビの中年おっさんだったのに、
 
急にマッチョで足長になって可笑しかった。
 
自分を改造するのに一緒に美容整形もしてるみたいで。
 
そういうとこがマッチョなのに女性的な性格に思える。
 
 
 
 
作品を続けてみると、こういう演出の違いそのものが、予期せぬキャラの性格付けに見えちゃうこともあるんだなあ。
 
例えば、旧と同じ水を使った感電も新スタッフは狙った演出ではないかと思うのですが、
 
続けてみると学習能力ない印象になって、ミスターXが憎めないオバカなキャラにみえてくるのです (^^
 
 
 
脱獄のチャンスは一度〔旧4話〕
 
 
出だし、音楽抜きにただ動く絵だけ、
 
最低限の物音だけ、台詞もごく短いやり取りだけ、
 
というのが他の上映作品群から抜きん出てスタイリッシュな印象。
 
「無音」
 
というのは時にどんな激しい音楽よりも人の耳をそばだたせる。
 
 
 
 
 
ビデオで他の言葉と差し替えられてる放送禁止用語もオリジナルで再現されていた。さすが映画。
 
画面でテレビより圧巻だったのが、不二子の涙のシーンとラスト、夕陽の中を駆けていくルパンと次元。
 
夕陽の大きさが画面上で本当に地平線みつめてる気分にさせる。
 
顔のアップは効きますね。
 
和尚の顔のアップは、そのむささがえらい迫力で仰け反りました(笑)
 
 
 
 
 
この話をラストに持ってきたのは作品の完成度からしても正解だったと思う。
 
実はこのイベントの5本のテレビシリーズは、上映順番をまるきり逆にする案も出ていたらしく、
 
それがそのまま、ネット情報の表示順になっていたりします。
 
 
上映後
 
 
 
余韻に浸りつつ、ロビーに出る。
 
久しぶりに公式を単純に楽しんで観られた気分。
 
そうだ、さっきカメラで撮れなかった残りのロビーのポスターも撮っておこう。
 
携帯を構えてパシャパシャやってると、また、カメラの前を仮装銭形さんがうろちょろする。
 
場所移動。別のポスターを撮り始める。
 
しばらくそうしてると、二人組の仮装人さんらがぽつりと零した。
 
 
 
 
「誰も関心持ってくれない」
 
 
 
 
そりゃそうだよ。
 
ここに来てる人達は、今日は「公式」を楽しみにしてきたんであって「ファン」を観に来たわけじゃない。
 
コミケとは楽しみ方も目的も違うのよ。
 
でも本人が本当に好きでやってるなら、それだけで充分ではないかと思うとです。
 
 
 
 
 
 
 
 
 
ところで、自分がもしリクエストして大画面で見るとしたら、
 
どのテレビシリーズがいいだろう、と考えてみました。
 
5本×2日で10本。
 
 
 
 
 
 
1.魔術師と呼ばれた男
 
2.脱獄のチャンスは一度
 
3.死の翼アルバトロス
 
4.マイアミ銀行襲撃記念日
 
5.ロボットの瞳にダイヤが光る
 
6.荒野に散ったコンバットマグナム
 
7.どっちが勝つか三代目
 
8.罠には罠を!
 
9.罠にかかったルパン
 
10.十三代五ヱ門登場
 
 
 
 
 
 
「死の翼アルバトロス」は今回のリクエストに入ってなかったのがとても不思議でした。
 
あれだけの動きの早さは小さい画面でフルに追うのは目が疲れる。
 
(うちのテレビが14インチだからという突っ込みはなしです)
 
むしろ大画面向きだと思うのですけれど。
 
多分に20日は大塚さんのオリジナル色紙も飾られるんだろうな。楽しみです。
 
 
5月20日のレポートに続く

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